例年この時期になると、小学6年生を対象とした租税教室の講師の仕事が入ります。
私が所属している関東信越税理士会・浦和支部の税理士業務の一環です。この租税教室は、租税教育推進協議会が租税教育の推進を目的とし、埼玉県下15税務署管内ごとに組織された団体です。各税務署管内の市教育長等が租税教育推進協議会の会長を務め、税務署・県税事務所・市町村・税理士会及び法人会等が構成メンバーとなり、税務署が事務局を務めています。開催希望があった学校に対して、構成メンバーの職員等が租税教室の講師を務めます。
もちろん小学校だけではなく、中学3年生、高校1~3年生も租税教室の対象となっています。私が今まで行った小学生対象の租税教室は、学年全体でまとめて授業をするパターンとクラス単位で授業をするパターンの2通りがありました。さいたま市の公立小学校は1学年1~6クラスの編成で平均4クラス(生徒数150人前後)が多く見受けられます。
未来の納税者となる子供たちへの税金に関する授業を、教育のプロである先生方の前で行うため、当然緊張します。簿記講座や税制改正の解説セミナーでは、受講生は多少なりとも税金の仕組みを理解されている大人ばかりなので導入部分も解説等がやりやすい感があり、緊張感も特に意識せずに講義ができます。
しかし、子供たちは最初の導入部分で興味を持てないと最後まで興味を持ってはくれません。音楽ライブのように「この部分知っているから、興味が持てて楽しかった。」なんてことは絶対にありません。授業始めの自己紹介から、興味と関心を持ってもらえるように、自分のテンションを最高潮に上げたところから開始します。
高いテンションで授業を始めるためには、授業内容の原稿をしっかりと分単位で組み立てる作業はかかせません。45分の授業ですが、最初から最後まで子供たちの関心を税金の話に向けることはかなり難易度は高いものの、非常にやりがいを感じます。
授業原稿の組み立てたあと、小学校の先生方と事前に打合せを行います。そこで子供達の関心や好みを伺い、授業の骨組みを決めます。打合せの後で、もう一度原稿の手直しを行います。
原稿が出来たあとは、時計とにらめっこをしながら時間配分の確認と声に出して練習を行います。当日の発熱や声枯れは絶対NGなので、アーティストのように体調管理には相当気を使います。税理士とは思えないほど声を守ります。
租税教育用副教材「わたしたちのくらしと税」を見ながら授業をしますが、税に関する質問コーナーは結構鋭い内容も多く、最後まで気を抜くことはできません。「国会議員が税金の使い道を好き勝手に決めても良いのですか?」という質問が一瞬頭が白くなりました。
「好き勝手に決めることはできないし、使い道を決めるために国会があるんだよ。」みたいな回答で納得していただきました。
平成最後の租税教室を楽しみたいと思います。
租税教室で使用する教材の表紙をupします。