住民税と聞くと個人が支払う税金というイメージがあります。住民税は会社も都税・県民税・市町村民税として納付しています。分かりやすく「法人住民税」という言葉を使用することが多いです。
今回は、個人が納付する住民税の徴収・納付方法について会社の立場で解説します。住民税は前年度の所得に対して計算された県民税と市民税を合わせた税額のことをいいます。個人自ら納付する方法を「普通徴収」、会社が従業員の給与から差し引いて個人に代わって納付する方法を「特別徴収」といいます。
「普通徴収」は個人事業主、退職して再就職をしていない人が対象、「特別徴収」は会社員が対象とイメージするとわかりやすいです。但し、会社であっても総従業員が2名以下の場合は普通徴収(従業員が自分で納付)することができます。
ここ数年、関東各都県(茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)において住民税の特別徴収徹底を図っています。従業員の採用・退職に伴い、会社は従業員の住所地に「特別徴収への切替申請書」を提出します。この手続きにより、従業員は給与から住民税が毎月天引きされるので、自分で納付手続きをする必要がなくなります。普通徴収の納期は原則年4回ですが、特別徴収は年12回なので、1回あたりの負担が少なくで済むメリットがあります。
会社は天引きした住民税を翌月10日までに納付を行います。源泉所得税と違い、住民税は各市町村から金額が記載された納付書が郵送されてくるため、会社で税額を計算する必要はありません。
さらに、従業員が常時10人未満の場合は、「特別徴収税額の納期の特例に関する承認申請書」を提出することで年12回の納期を年2回(12月10日・6月10日)とすることができます。6月分~11月分を12月10日まで、12月分から翌年5月分までを6月10日までに納付します。納期限が土・日・祝日の場合はその翌日が納期限となります。
インターネット環境が整った昨今では、各市区町村のHPから申請書をダウンロードすることができます。
当事務所では、新設法人もしくは従業員数が10人未満の法人の場合、直ぐに住民税の手続きを行っています。会社経営者の方の事務負担を考えると毎月納付の手続きはやはり煩雑で負担となりますので、源泉所得税同様直ぐの手続きは大事だと思います。
「特別徴収税額の納期の特例に関する承認申請書」を知らない会社も多く、関与をして直ぐに手続きをさせていただくこともしばしばです。会社で手続きを取ることが難しい場合は税理士を活用されることをおすすめします。